心のなかに階級を

お金がある人間は、それに見合うだけのモラルの高さがあるという思い込みを、小学生くらいの時から持っていた。しかし、そうではないらしい。成金だからモラルが低い。そうではないらしい。そうではないらしいがなぜなのか理解できなかった。階層を階級としてとらえていたからだと思う。単純に貴族はモラルが高いと思い込んでいた。
外見は内面と釣り合ってなければならないと考えているからだと思う。それは以前にも書いた。この釣り合いとは僕に依るものなので、他人にとやかくは言わない。
父親はマナーやモラルにはかなりしっかりしており、それは周りの大人と比較すれば明らかだった。父を基準に見ると、おおくの大人の乖離した行為を理解できなく、苦しんだが、そんな美しい振る舞いの父はとても位の高い人なのだなと思ったし、あこがれた。モラルとは、よほどの根拠がない限り、他人に迷惑をかけない、傷つけない、そのために、他人への想像力を働かせることだと教わった。僕もお金持ちではなくとも、せめてモラルだけは高く保っていようと思った。
なぜモラルの低い人は、あえて美しくない振る舞いを選択するのか理解できない。モラルの低い人、を自然と醜い人として差別して、敬遠していた。モラルの低さに今でも怒りは湧くが、階級が低いからしょうがないと思うようになった。
僕は勉強不足で本当の階級を理解しているとはいえない。社会学の授業で階級とは文化の差異であると聞いたくらいだ。実際には階級が高い人のモラルは決して高くはなかったかもしれない。しかし、僕の思ってた、階級の高い人間の美しさは色あせない。心の中の秩序としての階級は高くありたいと思う。うまく言えないな。